巣枠内自然巣で実験的飼育をしているセイヨウミツバチ群、6群すべてがとりあえずは越冬に成功しました。
巣門を板でふさいで8cmほどに狭めた以外に、冬囲い等の特殊な防寒処理はしていません。セイヨウミツバチは寒さには適応しているので、埼玉の山間部の気温ならば防寒処理はいりません。(後述しますが、自然巣で飼育し、かつ化学合成殺ダニ剤を使わないと、耐寒性がさらに上がるのではと思っています。)
いまのところ、調子が良さそうなのは6群中4群で、採蜜群として5月初旬から順調に働いてくれそうです。オス蛹も大量に作られ始め、ダニ対策も雄蜂巣切除で乗り切れるフェーズに入りました。




残りの2群は、昨年秋にダニの影響を受けて勢いが鈍り、冬の間もだらだらと育児が続いたこともあって、現在も調子が上がりません。育児は増えてきたものの、母数が少ない状態からの再スタートはなかなかに厳しいものがあります。やはり、8月ごろからダニを制御して、冬にはしっかりと育児が停止するようにしないと、ダニの影響を断ち切れません。
これらの弱った2群について詳しく説明すると、まず、昨年11月初旬までダニがほぼ見られず、耐性群か?と期待していたA1群が12月にダニの爆増(10%超)を受けまして、1月初旬に蜂児圏を切除し、乳酸処理によりなんとか凌いだ感じになります。また、昨年秋から成虫寄生率が2%を超えていたK2群は、秋のダニ対処後に一見健康になったように見えたものの、A1群と同じく冬の育児が切れず、越冬明けの蜂数が増えずに苦戦しています。
特に、A1群に関しては、昨年の定期モニタリングで11月までダニをほぼ見ずに来ていたところからの絶不調なので、私の採用しているダニ検査法「腹側撮影法」の精度に大きな疑問を抱かせる事例となりました。12月に一気に増えたように見えた、つまり、11月までは成虫にほぼ寄生が見られず、蛹にかなり高密度で寄生していたのが、蜂児が少なくなり一気に成虫に寄生し始めたというのは、教科書に書いてあるダニの生態「ダニの便乗期は平均4~6日ほど」という説が間違っているのでは?という疑問を私の中に抱かせました。私の体感では、この群に関して、便乗期は1日ほどしかないのでは?と思います。じゃないと、12月のダニ爆増とそれまでの検査結果の辻褄が合いません。
とはいえ、ギリギリの状況ながらなんとか持ちこたえて越冬できたところを見ると、
「慣行養蜂であれば凍死して全滅していたであろうこの2群がとりあえず越冬成功に漕ぎつけたのは、化学殺ダニ剤を使わなかったからではないか?」
という仮説も新たに生まれてきました。
私の体感では、セイヨウミツバチは、ダニで群れが弱っても、越冬できずに死滅するほどやわではないように感じています。おそらくですが、蜂が弱ったところに追い打ちをかけるようにフルバリネートやアミトラズを投入することで、蜂にとどめを刺しているのでは?と思えるのです。ダニがダメージを与える脂肪体という部位は、同時に蜂の解毒をつかさどる、人でいう肝臓のような臓器であり、その部分に化学薬剤のストレスが加われば、越冬に耐えられないほどに蜂が弱ることも考えられるだろうという論理です。
私が化学薬剤を使わずに自然巣養蜂を検証しているのは、ダニに効く薬剤が同じ節足動物である蜂に効かないわけはないだろうという疑いが晴れないからなのですが、今回その考えが強くなりました。
弱った2群に関しては、採蜜群はあきらめ、乳酸で地味にダニを対処しつつ、5月下旬ごろに10枚満群を目指すこととします。