なぜ無巣礎なのか?

セイヨウミツバチの養蜂は普通、巣の六角形があらかじめプリントされた「巣礎」というシート状の部材を使用し、平滑で管理がしやすい巣板が造られるように、ミツバチたちを誘導します。巣礎の六角形のサイズはだいたい5.3mm前後で、これは働き蜂の巣房サイズとなります。したがって、巣礎を使えば、基本的には働き蜂用の巣房以外は造られないということです。(実際には6mmのオス巣房も少しできる)

一方で、野生のセイヨウミツバチは、ニホンミツバチと同じように、巣礎なんてない木の洞などに自然巣を造って、自由に暮らしています。セイヨウミツバチの自然巣は、オス巣房が3割も造られ、その位置も一様ではなく、私たち人間からしてみれば、一見かなり非効率な構造のように見えます。実際、巣板全体を働き蜂蛹で埋め尽くす額面蜂児というテクニックは、自然巣では容易に再現しづらく、人の管理による増勢効率という点では、自然巣の方が劣っています。

それでも、自然巣の方がいいと主張している人は世界中にいて、日本では岩波金太郎氏などが有名です。彼らの主張はだいたい、蜂はベストな巣を知っていて、人が手を加えるのは人間のエゴであり、蜂にとっては迷惑なのだといった論調です。蜂へのリスペクトと信頼が強く感じられて、個人的には信じてみたいなと思わされる説なのですが、もはや家畜となったセイヨウミツバチに、単純な自然礼賛が通用するのかも疑問ではありました。

そこで、自分たちでやってみて試してみることにしたのです。

セイヨウミツバチは巣礎の使用を前提に家畜化されてしまったのか?それとも、野生状態を再現することで、ミツバチのポテンシャルはもっと引き出せるのか?

たぶん日本ではまだあまり試みられていない実験的飼育の始まりです。