無巣礎養蜂を推奨する理由としてよくあげられるものが、「人工巣礎の六角形のサイズは自然巣より大きく、それがダニの温床になっている」や、「人工巣礎の厚さは自然巣より断然厚く、幼虫が発する振動シグナルを育児蜂が感知できない」、「そもそも、人工物がハチにとって異物で邪魔」等、様々なものがあります。私はそれらに加えて、「ハチが造りたいように巣を造れることが究極のストレスフリー状態である」というのがあると思っています。
巣房のサイズの違いに関しては、実際に巣房サイズを測って検証したことがあり、自然巣も人工巣礎も、どちらも平均5.3mm前後で大きな違いはなく、たぶんこの説は間違っています。
振動感知説や、巣礎が異物で邪魔説に関しては、ハチになってみないとわかりません(笑)
でも、自然巣で飼っているセイヨウミツバチはストレスフリーでおとなしくなる、これに関しては正しいと確信しています。
私のうちの6群はどれも、基本的に煙も面布も手袋もなしで内検できるほどに従順で、養蜂家の友人も、「ここのハチめっちゃおとなしいね」といっていました。これは、無巣礎の空間に自由に巣を構築できることで、小さな建築家としてのハチの欲求が満たされているからなのだと思います。

しかしこれは一方で、巣の中がカオスになるという点で、人間にとっては大きなデメリットでもあります。
普通の飼い方の場合、雄蜂の巣房は1割程度、意図的に多く造らせたとしても全体の2割程度にコントロールされています。ところが自然巣の場合、3割ほどが雄の巣房になるのです。しかもその位置はなかなかにバラバラで、額面蜂児をつくりたいとか、雄切をしてダニの防除をしたいといったときに非常に面倒なことになります。また、巣が微妙に歪んで作られるため、群れの合同や分割の際、隣の巣枠との巣板間隔が合わないことが多いのです。人が管理・介入することが前提の場合、自然巣は面倒くさいことこの上ない。そしてたいていの場合、セイヨウミツバチ養蜂は人が介入することで成り立っています。
なるべく介入を少なくして、ミツバチ本位の自然な飼い方を目指すか。徹底的に管理して採蜜量をMAXにしたいのか。飼う人の思想や目的で、自然巣のメリットデメリット、どちらが勝るかが変わってきます。
巴里沙農園では、なるべくハチのやりたいようにやらせて、ストレスフリーで健康なハチが維持できれば、結果的に大量のハチミツを集めてくれるのでは?という仮説の下で無巣礎飼育を行っていますが、検証結果が出るのはまだまだこれからですね。