キンリョウヘンの植え替え&株分け方法

キンリョウヘンは、自然状態では木の上や岩肌の隙間に着生して生えている植物なので、空気が大好き。その点を意識し、植え替えにはあまり細かい用土を使わず、水をかけたらすぐに鉢底からジャージャーと流れ出るくらいの鉢内環境を心がけます。初めてキンリョウヘンを育てる方は、普通の作物のポット苗と比べて、その用土の空隙の多さに驚くと思いますが、この空隙が健康なキンリョウヘンを育てるポイントなのです。

用土は、巴里沙農園で販売しているオリジナル樹皮チップ用土がおすすめです。ほかにも、ネオソフロンαなどのバークチップを使ってもいいでしょう。キンリョウヘンに限らずですが、ラン科の植物の無農薬栽培では、菌根菌との共生をいかにうまく構築できるかに栽培の成否がかかっています(詳しくはこのページで解説)。

このページでは、植え替えの実際の手順を、写真を交えて紹介していきます。

植え替え&株分け時期は?

キンリョウヘンの植え替えや株分けは、蜜蜂誘引に使った株は花後、そうでない株は桜が満開のころに行います。この時期はまだ根や芽があまり動き出していないため、株へのダメージが少ないからです。6月くらいまではできないこともありませんが、芽が動き出した後に行うと、その後のすっぽ抜け発症率が上がったり、次年度の花芽がつきにくくなったりします。

植え替えの適齢は、2年に1度がいいでしょう。2年もすると用土の炭素分が分解されて、菌根菌が新たな炭素源を欲し始めるためです。2年に1度、3バルブづつのセットで株分けすれば、数年後にはたくさんの鉢を確保することができるでしょう。

用意するもの

株分けする場合は、新しい鉢を用意します。下の写真くらいの株(10バルブくらい)なら、2つか3つに分けられます。鉢は、2~3バルブづつの小分けにするなら3号、4~5バルブづつで分けるなら4号を使うのが無難です。子苗を大きい鉢に植えると生育が劣るし、逆に普通の苗を3号に植えると来年には根がパンパンになってしまいます。

さらに、古土を受けるための盥と、鉢のふちをたたくための適当な木の棒やゴムハンマーを用意します。

 

株分け方法

古い鉢から苗を抜く際、ほとんどの場合、根が固着していてすんなり抜けません。そこで、木の棒やゴムハンマーで鉢のふちを軽くたたき、慣性で苗を抜き出します。

色が白っぽい根は健康な根です。

寿命で死んだ根は黒や茶色になって指で押すとフカフカに潰れます。そういう根は根元から引きちぎって捨ててしまって構いません。茶色っぽくても指で押してしっかり堅ければ生きていますので、そういう根はそのままにします。

この根鉢を、なるべく根を傷つけないように手で軽く揉んで、下のように株分けします。おすすめは、去年のバルブ、一昨年のバルブ、その前のバルブ(あれば)の3バルブを1セットにして分けだす方法です。株を剥がす際は、切り離す位置の根本をしっかり持って、手で引きちぎってください。葉が落ちたバルブも、触ってみてフカフカしてなければそのまま残してください。

新旧バルブの配置がちょうどいいところを見つけて、手で引きはがす。
右の1セットは少し大きいので、このあとさらに細かく割った。
去年のバルブ、一昨年のバルブ、その前の年の枯れたバルブで1セット。
1セットのまとまりの古バルブ側を鉢のふちに寄せて植えこむ。
埋め過ぎず、出し過ぎず、ちょうどいい深さに植える。
この際、菜箸などでザクザク突き刺して、大きな隙間に用土を押し込むといい。
少し欲張って、3つに分割してみた。小割なので、左の二つは来年は咲かないかもしれない。
植え替え直後にホースで多めに水をかける。

元の鉢に巴里沙農園用土やバークチップが使われていた場合、古い土は捨てずに、新しい用土に1割ほど混入してください。そうすることで、もともと生息していた菌根菌の菌糸が新しい鉢に引き継がれます。

植え替えが終わったら、ホースで大量の水をかけ、用土に十分に吸水させます。その後は半日蔭の場所において、1、2週間ほどはそのまま水やりをせずに放置してください。雨が当たるのは気にしなくて構いません。水やりは10日後くらいから始めて、同時にIB化成などの緩効性肥料をひと粒与えるといいでしょう。

上記は株分けの方法でしたが、単純に植え替える場合も手順は変わりません。

重要なポイントは、去年、一昨年、その前の3バルブを1セットとして考えることです。それより小さいとその後の生育にかなりのタイムロスが出るからです。また、無農薬菌根菌栽培の場合、古い用土を1割混ぜることも重要です。そうすることで、共生菌がすんなりと新しい用土に移行していきます。

上記の写真の3鉢のうち、一番右の鉢のような感じのボリューム感で株分けすれば、だいたいの場合、次の年の春には花が咲くでしょう。